聖隷浜松病院S棟が竣工しました
弊社にて設計および監理を担当した「聖隷浜松病院S棟」が竣工しました。
今回の建替えにおける機能としての4つのコンセプト
- 周辺道路渋滞緩和対策としての駐車場整備
屋内駐車場に94台のスペースを設けたことで、病院前の交通渋滞が大幅に緩和しました。さらに、地下駐車場には医療用の電源コンセントを備え、感染症が拡大した際にも熱発外来などへの対応が可能になりました。 - 眼科.眼形成眼窩外来と手術部を併設した「アイセンター」の設置
アイセンターの設置により、外来から手術、入院までを切れ目なく対応できるようになりました。
照明の配置、照度、色温度に関して、照明サンプルを用意し、医師と入念な打合せを行ったことで、「診察、手術後の患者の目に優しい」照明計画ができました。 - 感染症対応も可能な病棟の設置
感染症拡大時対応として、隔離病棟としても機能できるつくりとし、他の病院利用者と交差しない動線計画を行うとともに、感染症指定医療機関施設基準を基にした建築、設備としました。 - 敷地が分かれている医局管理棟との渡り廊下設置
病院の悲願である、医局管理棟と病院本体とを結ぶ渡り廊下が完成し、屋内での行き来ができるようになりました。
建築的な3つのコンセプト
- 中間に配する建物としての外観
敷地形状や病院機能、道路斜線、日影規制により建物の大きさは決まっていました。
縦長窓と、フラットとリブ付のコンクリート成形板外壁をランダムに配置することで動きのある外観としました。
また、隣接する医局管理棟のルーバーによる「縦の要素」をリブ付コンクリート成形板で、病院本体の「マスな要素」をパラペットの高さの差によるブロック形状として取り入れ、中間に配する建物としてのしつらえを表現しました。 - 周辺レベルとの取合い
敷地周囲の道路は南北だけでなく、一見フラットに見える東西の道路も1.4m、2.1mの傾斜がついています。加えて、駐車場出入口2箇所、その他直接出入りする場所が3箇所あり、既存建物と渡り廊下で繋がる高さも決まっていました。これに基づく基準レベルと各階の高さの設定は一筋縄ではいかない課題でしたが、構造と設備の担当者と協働して知恵をしぼり、解決しました。 - 感染対策
コロナ禍の初期段階から設計を進めていたので、感染対策には十分配慮しました。
目に見えない空調のエアーフローを図面に書き込むことで「見える化」し、手洗い部分の配置、仕上げ材などについても病院スタッフと十分に協議することでこれを実現しました。
建築に造詣のある医師から、「この建物をこの場に実現してくれてありがとう!」とのお言葉を賜り、大変うれしく思います。これからの糧にしていきたいと思います。