浜松修学舎建て替え計画を終えて
今年引き渡しを終えた芥田学園 浜松修学舎 中学校・高等学校の計画について説明をいたします。
芥田学園は昭和4年に女子校として開設されました。現理事長が90周年事業として建て替えを決意され、弊社に設計を委託されたのが5年前の2017年になります。
最初のプレゼンテーションで示したコンセプトは主に3つ
- 狭小敷地に建て詰まり、オープンスペースが少ない学校の印象を払拭する
- 仮設校舎を造らないことでコストを抑え、工事中もなるべく学習環境を劣化させない
- 道を隔てた3つの敷地を有機的に接続する校舎計画とする
以下、順に簡単に説明をいたします。
1.狭小敷地に建て詰まり、オープンスペースが少ない学校の印象を払拭する
既存校舎は敷地境界近くまで校舎壁面が迫り、周辺に対してかなり圧迫感のあるたたずまいでした。目指したのは地域に開かれた見通しの良い空間です。境界沿いのフェンスや生け垣を取り払い、交通量の多い幹線道路沿いに歩道空間を提供しました。
2.仮設校舎を造らずにすむ建て替え計画としてコストを抑え、工事中もなるべく学習環境を劣化させない
学校の建て替えは仮設のプレハブ校舎を造る手法が多いのではないでしょうか。実際、市内の公立学校ではほぼその手法で進められています。
今回は既存校舎に空調設備が設置済みで夏期でも窓を閉めて解体工事を行える環境と学校側の理解があり、仮設校舎を省略した建て替え手順を採用できました。
弊社は多数医療施設の設計を手がけており、敷地内で既存建物を運用しながら建て替えをする経験を多く積んでいます。今回はそこで培ったノウハウを活かすことができました。
3.道を隔てた3つの敷地を有機的に接続する校舎計画とする
3つの敷地にまたがった校舎群を機能別に整理し、3階の道路上空通路でつなぎます。
そのフロアにラーニングコモンズを設け、教室館移動の際に常に通過することで生徒の認知度を高め、利用を促すことを意図しています。
ラーニングコモンズは図書室、学習室に隣接した多目的学習・自主学習を始めとしたフリースペースとして機能しています。
足掛け5年に渡るプロジェクトを終えてからまだ4ヶ月です。今後どのように学校が使われるかを観察し、次の計画に活かしてまいります。