特別養護老人ホーム くにやす苑
- 建築主:社会福祉法人 大東福祉会
- 建築用途:特別養護老人ホーム
- 構造規模:S造
- 延床面積:6,796u
- 計画地:静岡県掛川市大東町
- 竣工年月:2004年11月
自宅での生活が困難になったお年寄りのための「もう一つの我が家」であってほしい。そんな願いを込めて建設された『特別養護老人ホーム くにやす苑』
空気式集熱器による太陽熱利用は、暖房しながら換気する効果のおかげで、高齢者にとっても快適で活動しやすい環境です。
また、施設を利用する方々の快適性の追求だけでなく、建築物を環境性能で格付けするCASBB(建築物総合環境性能評価システム)でAランクの評価も受けています。
概 要
- 設計コンセプト
- △ 入居者の見る外部風景と風の流れを確保
- OMソーラーによる太陽熱利用
- △ 屋根材一体型空気式集熱器が設置された屋根
- その他の環境配慮
- △ 「くにやす苑」はCASBEEランクAを達成
- △ 風と光が心地良い木の優しい格子。目隠し効果と通風効果があります。
約18,400uという恵まれた敷地と日当たりの良さからこれを活かした“集落”としての景観と機能を有する施設にしたいと考え「もう一つの我が家“施設”から“住まい”へ」を大きなテーマとしました。
敷居の有効利用を考えれば、高層の施設を建てることで、できるだけ多くの方に利用していただくという選択肢もあります。しかし、施設には療養のための合理的な機能に加え、利用者の「日常生活の充実」という役割も求められています。利用する方の視点に立ち、それまで、多くの時間を地面と触れ合いながら過ごされてきた生活の延長の場として、土や緑や自然と密接な環境のほうが、生き生きと過ごせると考えたのです。
建物の高さを低く抑え、周辺地域と調和させ、環境と人に対する圧迫感を軽減することが基本テーマとなりました。
ユニットは、それまでの生活体験との連続性をもてるよう接地性の高い平屋とし、1軒の住宅と見立てたユニットは中庭を囲むように分散配置としました。
特別養護老人ホームは、利用者にとって、「終の住処」ともなる場所。だからこそ、より利用者の視点に立った設計の配慮を考えています。
OMソーラー導入設備導入により太陽熱を利用し、電力の30.4%、LPG給湯器の電力5.7%、年間燃料消費量21.0%を自然エネルギーによって賄うことを目指しました。
従来の太陽熱利用にあっては、熱の移動、給湯への転換等に商用電力を使用していましたが、太陽電池駆動型のハンドリング及びお湯採り貯蓄槽を採用することで、日射があればランニングコストをかけずに太陽熱利用が可能です。
そこで、各ユニット棟にOMソーラーを搭載し、太陽エネルギーを空気で集熱することで暖冷房、換気、給湯に利用する計画としました。
冬期は、軒先から取り込んだ空気を屋根面で暖めながらハンドリングファンを用いて床下に送風することで床輻射暖房効果が得られ、これにより暖房負荷の低減を図るとともに、建物内の換気を促進します。
夏期は、夜間放射冷却現象を利用し、室温よりも低温の外気を屋根面で冷却しながら床下に送風することで採涼効果が得られ、翌日の冷房負荷が低減できます。暖房の必要のない中間期、夏期は日中の排熱を利用し、お湯採りを行うことで給湯エネルギーの軽減が可能となります。
◆CASBEE( 建築物総合環境性能評価システム)
当社では、CASBEEを当初より導入しており、環境性能効率を客観的に格付けしながら設計を進め、CASBEEランクS(Excellent 素晴らしい)または、A(VeryGood 大変良い)を目指しています。
また、CASBEE評価を行うに当たっては、建築物の総合的な環境性能評価に関する専門的な知識と技術が求められます。「CASBEE評価員登録」に当社スタッフが登録されました。
◆木製外部ルーバー
地域交流センターの窓には、木材チップの加工品による外付けルーバーを採用しています。金属製ではなく、木の風合いがもたらす心地よさを優先し、太陽光の入射角を計算しスリット角と向きを検証、南面には横ルーバー、西面には縦ルーバーを施工しました。
目線と日差しをコントロールし、昼の日差しをコントロールして、昼光の利用と日射負荷の低減を図りました。
◆雨水利用
◆緑化計画