浜松市 春野地域自治センター
- 建築主:浜松市
- 建築用途:庁舎
- 構造規模:木造+RC造
- 延床面積:1,752u
- 計画地:静岡県浜松市天竜区春野町
- 竣工年月:2007年5月
天竜美林として知られる地元春野産の杉と桧をふんだんに使いました。 「地元春野産木材を積極的に使用し、地域の木の文化を背景とした風景づくりが実践されている」と評価を受け、「平成19年度静岡県都市景観賞・優秀賞」に選ばれました。また、全国初「空気集熱式ソーラー除湿涼房システム」を導入した建物です。
概 要
- 設計コンセプト
- △ 木の文化とともに町の誇りとして、なだらかな曲線の屁は迎えてくれます
- 環境にやさしい地元産木材の利用
- △ 木造で大きな空間が構成されました
- △ 美しい小屋組の吹抜け。
- △ 美しい小屋組の吹抜け。
- 空気集熱式ソーラー除湿涼房システム
- △除湿涼房システムのしくみ
- その他の環境配慮
建物が建つ土地…
そこには必ず植物や生き物がいて、自然の循環のしくみがあり、受け継いできた歴史や文化があります。
新しく建つ建物は、そうした周辺環境を切り離し、閉鎖的な人工環境であってはいけません。その土地の持つ特性を理解し、建物の「内」と「外」をうまく共生させることが大切だと考えます。
地域全体を考え、そこに住む人々との建物のつながり方を育ててゆくことも、ハイ・コンタクトな建築設計の課題です。
この国で、長く育まれてきた「木の文化」を継承・発展させることは環境対策としても、とても大切だと思います。
地元木材の利用が環境を守ります。静岡県は、林業・木材の有力地です。 木の香り、触れたときのぬくもり、やさしい肌触りに私たちの心は癒されます。「地産地消=その地域で生産されたものをその地域で消費する。」「食」に関して、よく言われる言葉ですがこれは建築、木材についても当てはまります。
地元の木材は、地元で消費する。
浜松市 春野地域自治センターでは、天竜美林として知られる地元春野産の杉と桧をふんだんに使いました。そして集成材ではなく、無垢材を使い、大工さんの手により美しい木組が表現されました。(在来工法)
春野の町で育った木をありのままの姿で使いたいと、価格の高い大きな柱ではなく、一般に流通している大きさの柱を4本組み合わせて使い、ポイントとなる場所にだけ大きな1本の柱を使うという工夫を凝らしました。
木材は調湿性や弾力性、熱伝導性、芳香性など多くの長所のほかに、製造や解体にかかるエネルギー、輸送にかかるエネルギーまで考慮に入れると、地元材を使った建築は、「環境を守る」「地球温暖化防止」への大変有効な手段です。
内装にも春野産の木材を使用しています。
美しい木目も、五感に良い刺激を与えてくれますね。
「持続可能型の環境と共生する建築」との視点から、町内産の木材を使用するとともに、自然エネルギーを活用しようと、太陽熱を利用する空気集熱式床暖房のOMソーラーを提案しました。
春野地域自治センターは、全国初「空気集熱式ソーラー除湿涼房システム」を導入した建物です。
計画が進行してゆく中で、OM計画(株)が研究開発していた 「空気集熱式ソーラー除湿涼房システム」 がNEDOの研究開発事業として採択されたことを受け、 「NEDO太陽エネルギー新利用システム技術研究開発事業」 の一環として導入することになりました。「空気集熱式ソーラー除湿涼房システム」とは、従来のOMソーラーシステムにシリカゲルによる除湿機能を加えることにより、冬季は「太陽熱床暖房+換気」、夏期は「除湿涼房+換気」を行うものです。
この地域は高齢者が多く、山間にあることから孤立しがちです。建物そのものが防災の拠点となり、心の拠り所になれることが大切だという思いで免震構造を採用しました。